イタリアの結婚・離婚事情 2
イタリア人が結婚したがらない理由の2つ目は、離婚が大変。(1はこちら)
これは、男女問わず結婚しない理由として真っ先に出てきます。 というのもイタリアで離婚が法律で認められたのは1970年代、たかだか40年前のこと。 キリスト教で離婚が禁止されてるのでそれまで離婚は一切できなかったみたいだけど、約40年前に『ある条件を満たした場合』は離婚できるような法律が改定されたそうで。 その『ある条件』というののひとつに、「○年以上別居状態が続いてる」というのがあるそうで、この条件の為に離婚しようと思ってもすぐにはできません。 ○年 というのはどうやら最低でも3年、子供が居たり、他の条件によってはそれが5年とかそれ以上になるらしいです。 なので、離婚までにものすごーく時間がかかります。 この別居もどうやら勝手に別々に住みだせば言い訳ではなく、ちゃんと双方弁護士立てて裁判し、「別居期間に入ります」というのを認めてもらわないといけないそうです。 その裁判だけでも大変そうなのに、そこから更に何年も、法的別居状態が続くわけです。 その間もちろん一切相手と顔を合わせないわけにもいかないし、男性側は女性や子供の生活費をある程度(どれくらいかはわからないけど)負担する必要があり、金銭的にも大変。 また、子供が居る場合、子供が頻繁に両方の親と会える状態にないといけないようで、子供を連れて遠くに引っ越すこともできません。聞いた話では、例えば母親が外人で、法的別居期間中に勝手に子供を連れて長期間母国に帰ったりすると、誘拐と見なされ訴えられることもあるそうで。。。 イタリア語でこの別居期間のことを Separazione(セパラッツィオーネ)って言うんですが、今セパラッツィオーネ中 って人、周りに結構居ました。^^;なので、こんなに大変でも離婚したがる人は多いみたいだし、感覚としては日本より多いんじゃないか?という気がしてます。 ただ、このセパラッツィオーネというのは離婚が前提なので、お互い次のお相手を見つけることは構わないようです。なので、別居状態だけどもう次のお相手が居る人は結構ザラに居るんですが、じゃぁその人と結婚したい となっても、離婚が成立してないのでそれがすぐにはできない。 そんなの仕方ないじゃん とは思うものの、短くて3年ですからね、その間片方がセパラッツィオーネ中 ということで、いろいろ問題は起こるようです。 よく聞いたのは、男性側が別居中、新しい彼女は早く結婚したがってるけどそれができないことでよく喧嘩になる って話。 また、イタリアで結婚というと2種類あって、ひとつは日本と同じようにコムネ(役所)に書類を提出する法的な結婚。もうひとつは教会で「神様の前で誓う」宗教的な結婚。 結婚する以上、役所の手続きをする結婚は必須ですが、教会の方は宗教的なものなので任意で、役所での結婚だけをするカップルも居ます。(宗教的な結婚のみは不可) 役所での結婚 と言っても日本のように書類を出しておしまい ではなく、近しい人を呼んで、人によってはウェディングドレスを着て、市長さん(役所の所長さん?)の元にそれなりのセレモニーをやるそうです。(教会式やる人は書類だけかも?) で、最初に書いた「離婚ができるようになった」というのは、この役所の結婚の話。 法律的には離婚は可能ですが、離婚を認めていないキリスト教での離婚というのは未だにできないため、どちらかが一度教会で式をしてる場合(だいたいしてる人が多い)、再婚にあたって教会式ができません。離婚が認められていない以上、再婚 というのもありえないので。 なのでそういうカップルは、必然的にコムネ(役所)での結婚のみになります。 これで法的にはちゃんと結婚できるんだけど、でもやっぱりイタリアでも女性は教会でステキな式を挙げるのを夢見てる人が多いので、このことで不満を言ってる女の子の話も結構聞きました。 そして、クリスマスやパスクワ(イースター)などの大事な宗教行事では、イタリアは家族揃って長~い食事をするのが普通で、そういう場合だいたい親の家にみんなで集まります。 別居中の夫婦の場合、大体小さい子供は母親と住むことが多いので、母親は子供を連れて母親の実家でお食事会 となるわけですが、その時母親に新しい彼氏が居れば、その彼も一緒に食事会に参加 ということもありえます。 でも、子供を両親両方と一緒に居させてあげたい という配慮なのか、そうしないといけない決まりなのか、その場に別居中のダンナもやってきて、みんなで一緒に食事 という場面が展開されるわけです。(こういうシチュエーションに居合わせた経験アリ) これ、日本人としては絶対ありえないシチュエーションだと思うんですが・・・。 だいたいこのシチュエーション、一体誰が幸せなのか? 別居中の夫婦にしたって、娘と別れようとしてる男を家に迎える両親にしたって、今の新しい彼氏にしたって、そんなビミョーな状況に置かれる子供にしたって、誰にとっても幸せ一杯なシチュエーションじゃない気がするし、そのダンナの新しい彼女 っていうのはさすがにこの場に一緒には来ないみたいですが、そうするとその彼女側からは「大事な日に一緒に居れない」という文句が出ること必至だし、なんだか傍からみてるとイタリアってば人生複雑。。。 そんなこんなで、好きな人とずっと一緒に居たい という思いはあれど、でもこの先何があるかわからないから、結婚はリスクが大きすぎる ってセリフ、結構聞きました。 ところで同じカトリック教徒の多いスペインの離婚はどうなのか ということ、意外なことにこんな別居期間を取る必要もなく、あっさり離婚できるのだそうです。あらびっくり。 「イタリアでは・・・」という話をすると、「あー、だってイタリアにはバチカンがあるからねぇ~」とイタリア人とまったく同じセリフ。 やっぱりバチカンの威力ってすごいのねぇ~ と改めて感心。。。
by maccarello
| 2010-12-16 19:40
| イタリアーナへの道
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Comments(4)
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yossy
at 2010-12-17 19:14
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これはほんと、大変みたいね。。。とりあえず金銭的なものに関しては、あたしの知り合い談によると、Separazioneのあと、Divorzioが成立しても、収入が多くて家計を支えていたほうが、もう一方に対して生活費をあげないといけないらしいのね。それは裁判所が決めるらしいけど、基本的に以前の生活レベルとほとんど変わらないくらい、らしいよ。それってその相手が次のパートナーと結婚するまで、とか、なんとか。。。子供にいたっては成人するまでだけど、日本みたいに明確な成人の年齢みたいなのがないイタリア。Maggiorenneになったとしても、一人前に自立して、生活ができる経済状況でないなら(仕事していないならってこと)親が生活の面倒をみないといけないんだって。だから40歳くらいでも学生している人たちがいるじゃない?あれって親が子供(40歳)を養う義務があるってことなのよ。。。(汗)
これじゃ、結婚なんて無理よね。。。
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Grrrly
at 2010-12-17 21:49
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入口は広く、出口は狭い・・・まるで「行きは良い良い帰りは怖い」のとうりゃんせ状態ですね・・・。
日本みたいに法手続きや金銭面では諸外国に較べたらそれほど大事にならずに離婚出来る国でさえ、離婚はやはり相当に躊躇する結論だというのに、これほどの困難を忍んででも離婚したいカップルが日本より多そうというのは、しかし、何となく納得という気も・・・。 イタリア人ってやっぱり我が強そうなイメージがあるので、嫌いになったらもう絶対ムリ!ってなっちゃうのかなぁと思ったりしました。 それにしてもおしゃべりなイタリア人のこと、結婚も離婚もさぞや大騒ぎなんでしょうねぇ・・・。
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maccarello at 2010-12-20 21:43
yossy さま:
日本も離婚となるといろいろ大変だとは思うけど、イタリアのこの手順とか義務はなかなかすごいですよね。それでもあれだけ離婚したがる人が多いのもすごいけど。^^; 40歳の子を養う親ってのも・・・ とは思いつつ、実際は親(特にマンマ)は息子がいくつになってもかわいいビンボ って感じだから、特に文句も言わなさそう。。。 Grrrly さま: イタリア人は確かに我は強い人多いですねぇ。特に女性は子供の頃から「お姫様」と言われて育てられたまま大人になってる人も多いので、なかなか強そうだし。^^; それに日本よりも「愛情のみ」で結婚するのが普通っぽいので、愛情がなくなったら一緒に居る意味なし ってなるのかなー とも思ってます。 更にイタリア人の恋愛に年齢制限ってないので、今の相手がダメなら次っ ってなっちゃうのかなぁ~ と。。。
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イタリアのトスカーナ、マルケ、スペインのバルセロナと周って、8年ぶりに戻った日本は信州から。
by さばぇ
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