イタリアの結婚・離婚事情 3
イタリア人が結婚したがらない理由の3つめは、事実婚がそれなりに市民権を得ている。(1はこちら、2はこちら)
結婚したがらないイタリア人がずっとひとりで居るのか というとそんなわけでもなく、イワユル事実婚、同棲状態のカップルはかなりいます。これは南よりも北の方で多い印象(理由は後述)。 それは子供ができても同じ。 一緒に住んでて子供も居て、双方の親も含めて家族として付き合っているけれども、法的には結婚してない というパターン。 こっから先は男女共通の話だけど、、、イタリアは結婚してもどちらかが姓を変えることはないので、傍からみてると「法的に結婚してるのかどうか」というのは本人に聞いてみないとわからないし、結婚してようがいまいが、待遇の差というのは実際あんまりないようです。 更にイタリア、シングル・マザーに対する政府の保護がかなり厚くしっかりしてるそうで、子供が居てもかえって結婚しないほうが得 という話も聞いたことあります。 なので、あえて「結婚」という形を取る必要もない という感じの人も、多かったです。 そして、親の世代(60~70代)でも特に「結婚」という制度に拘らない人も多いようで、日本のように親や周りが結婚しろとうるさい みたいな話も、全くと言っていいほど聞かなかったし、私もイタリアで言われたことないです。 相手はいらないから早く子供産みなさい ってのはたまに言われたけど、「結婚を」と言うのはまずなかったし、同じく30代中~後半のイタリア人友達を見てても、歳を理由にそろそろ結婚を・・・という考えはあまりないようです。 また彼女らの親も、「いい人と出逢って幸せになって欲しい」という純粋な願いはあれど、いい加減結婚しないとどうこう という感情はないみたい。 日本ではそこそこの歳になると「そろそろ結婚しなさい」って親や周りから言われる人も多い ってな話をすると、親の世代の人達ですら「そんなのおかしい、結婚は歳で決めるものじゃないでしょ?!」と驚いてたし、「ヘンな相手と一緒になるくらいならひとりの方が幸せよ」と言いきる人も、そりゃぁたくさん居ました。まったく以ってご尤もなご意見。。。 そんなんなので、数字的に見るとイタリアの離婚率って日本より低いみたいだけど、これってそもそも法的に結婚してるカップルの全体数が少ないからで、結婚したカップルに対する離婚率 だったら実は日本より高いんじゃないか? というのが私が受けた感覚です。 ただこの3番目の理由は、結構地域による違いが大きいように感じます。 南の方や田舎だと、北や大都会より宗教観が強い人がやっぱり多いんですが、キリスト教では神様の元(下?)で結婚し、家族と子供を持つことを推奨してるので、それに反する事実婚というのはよくない という主張は、南の方へ行くと若い子からもそれなりに聞きました。 なので、社会制度としての結婚にはあまり重きを置いてなくても、神様の前で誓う(教会で結婚する)のが本当はベスト と本人達もその親も考えてはいる というのが、南寄りに住んでたころの印象。 そのせいだと思うけど、北寄りのトスカーナの頃よりも、南寄りの田舎に住んでた時の方が、きちんと結婚しているカップルというのは周りに多かったです。 あとは、イタリア人カップルが結婚までにお付き合いする年数というのが、友達曰く最低でも5年、8年~10年、それ以上も多いけど、5年以下はありえない とのことなので、そこそこの歳になって出逢ったカップルは、そこそこの歳でもまだお付き合い段階で結婚はしてない というのも多いのかも。 20代後半で結婚してる人は、聞くと相手とは学生時代に知り合ってたり、子供の頃からの幼馴染みで家が目の前だった とか、20代でも既にそれなりに長い期間お付き合いした後の人が多かったです。 と、ここまでは主に結婚したがらないイタリア人男性 ってことで書いてみましたが、じゃぁ女性はどうなのかと言うと、、、 やっぱりちゃんと教会で結婚をしたがってる人が多いかな~ という印象。 結婚なんて離婚が大変で・・・ とか一応口では言ってても、色々話をしてると、やっぱり本当はきちんと結婚したい と言う女の子は多かったですね、特に南寄りの田舎では。 更にできることなら家に入って専業主婦をやりたい という友達も結構いました。 今のイタリア、結婚しても共働きが圧倒的に多く、理由としてはそうでもしないと食っていけない ということなんだけど、できることならおばあちゃん世代のようにずっと家に居て、旦那や子供、家族のために家のことをきちんとしたいし、それは女性としてすごく幸せなことだと思う って言ってる子は、私の周りにはそれなりに多かったです。そういうところもやっぱりイタリアって保守的かな~ とも思うけど、イタリア人男性に言わせると、「イタリア女性は社会進出がしやすくなって、強くなりすぎた」とのことだけど。 イタリア(スペインもそうだけど)人曰く、女性の社会的地位はまだまだ低い とよく言ってるけど、日本に比べたらかーなり社会的男女平等は守られてる印象だし、それなりの地位で働いてる女性も多いけど、そういう人達も本心では、共働きしなくても食べていけるなら家庭に入りたい と思ってる人も多かったりして と思わなくもない。このあたりも地域差は大きそうだけど。。。 余談だけど、ここ数年日本のニュースの見出しでよく見かける「婚活」という言葉、私の印象だけど、イタリア人にとって結婚って、まずは恋愛ありきでその先にあるのが結婚という感じなので、こうやって「まず結婚ありき」で条件から相手を探すっていうのは理解されない気がしますねー。(宗教的にも正しくないとか言われそう) 逆に条件を重視しないから、いざ結婚してから「現実問題やっぱり無理」となって離婚する人が多いのかもだけど。:p っていうかそもそもこの「婚活」、ニュースなんかの見出しだけ見てると相当流行ってるような印象を受けるんだけど、実際のところはどうなんでしょう? だって私の周り、独身多いけど実際そういうのしてるって人聞いたことないんだけど。。。:p ということでこのシリーズおしまい。
by maccarello
| 2010-12-21 01:01
| イタリアーナへの道
|
Comments(9)
あ~、最近忙しかったら、出遅れた。おもしろい話題だったのに。
日本は婚活の広告がすごいですよ~。以前はお見合いとか出会いとかそういう表現を使っていましたけど、最近は全て婚活に変わりました。 恋愛をするためでなく、結婚生活を送り、パートナーになれる相手を探そうって感じで。やっぱり恋愛と結婚を分けている感じですね。 ほんと、日本はもともと年齢によるカテゴリー分けが多いけど、年齢で結婚のことを言ってきてウザいです。30代半ばの私に、20代前半の子までが「結婚されてるんですか?」って何人も聞いてきました。あ~、日本ってめんどくせ~って思ってしまいました。 イタリアの、5年以上のお付き合いや恋愛ありきの結婚っていうのすっごいわかります~。2年で結婚とか言うと早すぎる!とかいわれるし。確かに南に行くと結婚をいい評価している&結婚したい感が、北より高いように思います。
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Grrrly
at 2010-12-23 20:49
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シリーズ完結ですね。
イタリアの事情を見ると、確かに結婚する意味って全然無いような気がしました。むしろ面倒なことが増えるだけのような・・・それでも「結婚」がしたいと思う乙女心って何なんでしょうね?宗教だけとは言い切れないものを感じます。「面倒に巻き込まれてもいい!と言えるくらいに永遠の愛を誓って欲しい」ってことなんでしょうか。 日本の事情で結婚と年齢が分かちがたく結びついてるのは、恐らく一つには結婚=出産であり、それは何故なら結婚というのが「家」を未来に繋ぐ手段だからですね。 ですから特に女性は若くないと「嫁の貰い手が無い」と言われ、実際日本男性はこと結婚相手においては特に若い女性を求めますよね。 イタリア人はその辺りはあまり気にしないってことなんですかねぇ。 それにしても日本人の妙齢女性が5年も付き合ってたら、間違いなく親から「そんな男やめときなさい」って言われるのがオチでしょうね(笑) このシリーズ、全然知られてないイタリアの恋愛結婚離婚事情がわかって、すごく面白かったです! 今度はスペイン編をお願いします!(笑)
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ぴろり
at 2010-12-24 20:34
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日本の少子化対策の遅れ度合いについて、よく出生率を上げた
フランスのシングル・マザーへの手厚い政策が引き合いに出されるけど、 同じくシングル・マザーに手厚い政策を取ってるイタリアの出生率って 実は日本とどっこいどっこいか低いぐらいだよねぇ?? 同じアムールの国とアモーレの国でもずいぶん事情が違うんだね(*_*)
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maccarello at 2010-12-29 00:02
Delfino さま:
そうか!「出会い」って言葉が「婚活」に置き換わったってことなんですねー。 なんだか雨後のたけのこのようににょきにょきと婚活業者(?)が現れたのかと思ってたけど、元々そういうことやってたところが宣伝文句を変えただけ なのかしら。 日本に居ると、自分の歳をすごく意識させられますよね。交友関係も自然と年齢層で区切られたり。 そういう点イタリアって年齢を感じさせられない というか、年齢枠によってこうであるべき みたいのがなくていいですよね。 交友関係も年齢とか全然関係ないから、友達で集まると親と子ほど年齢が離れた人とか一緒になったり。そもそもお互いの歳知らないまま何年も友達だったりするし。^^; イタリアは ってくくりで書いちゃったけど、やっぱりあの国は南北のキャラが違いすぎるので、中部じゃなくて北や南だとまたいろいろ違う常識がありそうで興味深いですよねー。
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maccarello at 2010-12-29 00:18
Grrrly さま:
そういや書きませんでしたが、結婚後の嫁姑関係も、大変なところは結構大変みたいですよ。^^; それでも結婚をしたい乙女心は・・・ なんでしょうねぇ?やっぱり日本と同じで「教会でウェディングドレス」に憧れるのか、おばあちゃん世代のようなマンマ像に憧れるのか、それともやっぱりアモーレの国だからなのか?? 日本の男性が結婚相手に若さを求める というのは、どうなんでしょう? 私はなんとなく周りを見てて、付き合う(連れて歩く)相手は若い方がいいけど、結婚となると似たような歳の相手を選ぶのかと思ってました。^^; イタリアは、40歳過ぎての出産なんて普通だし、初産も全然大丈夫よ!とか言ってる人多く、実際40歳過ぎての出産ってのも結構聞くので、あんまりその点心配してないのかもしれないですねー。 イタリア人って、20代後半とかでまだ大学生やってる人もたくさんいるし、40歳超えても自分達はまだ若いから・・・ と素で言うので、日本とは年齢に対する大人度の感覚がかなり違う気はします。 楽しんでいただけてよかったです。:) でもスペイン編は・・・ まだサンプル数少なくてよくわからないので無理です~^^;
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maccarello at 2010-12-29 00:29
ぴろり くん:
そのフランスの話は私も聞いた事あるけど、でもそれって今まで経済的問題で産めなかったシングルマザーが産むようになっただけ(要するに中絶が減っただけで子供を作る人口は変ってない) って話だったりしないのかなー とか思ってみたりして。よく知らんけど。:p イタリアの出生率は確か日本と似たような感じだったかと。 日本もそうだけど、親やその上の世代に兄弟5~6人とか10人とかがたくさんいたのが、1~3人に減っていて、生活するうえでそれくらいの人数が適当 ってことなんじゃないかな とか思うんだけど、どうなんだろう。 個人的には別に無理に世界の人口増やさなくても、今後食料もエネルギーも減っていくんだし、それに適応するには人口も減って行ってもいいんじゃない?とか思わなくもない。。。
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Grrrly
at 2010-12-29 06:31
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>40歳超えても自分達はまだ若いから・・・ と素で言う
イタリアって何ていい国!!!(ゲンキン) 日本にいると、本当に落ち込みますよ、35を過ぎた女はもう価値がゼロを通り越してマイナスです。 うちの母も「Grrrlyちゃんが40歳を超えたらもう結婚はムリだから、他人とは違う人生を見つけて生きていってね」って本気で言いますから。 洗脳される・・・(汗) そうそう、上のコメントで婚活のことが書いてましたが、最近日本では婚活業者も急速に増えました。 少子化もあってそこに金脈があると思ってる人がいるみたいです。 でも業績はさほど良くないので、多分マスコミが煽るほどには参加者はいないと思います。 あと少子化のことは、さばえさんの書かれてるように、おそらく政府は既に人口減少を是として長期の政策を考えてると思われます(という話を聞きました。)。 私も日本の国土の広さから適正なとこに落ち着くんじゃないかと思いますが、問題は移行期の難しさ(年金とか、経済の縮小とか)なんですよね。 重ねて、長々失礼しました。
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maccarello at 2010-12-31 23:00
Grrrly さま:
スペインもそうですが、女性も男性も自分の死が見えない限り「若い」という感覚みたいです。 うっかり、もう若くないし・・ なんて言おうものなら、それじゃぁ私たちももう若くないってこと? と50歳は優に超えてる女性陣に責められます。^^;(経験者) でもそういう感覚っていいなぁ と思います。だって人生80年って考えたら、30代なんてまだ半分以下ですしねぇ。:) 40歳超えたら って決め付けも、なぜ39歳11ヶ月はよくて40歳はダメなのか?って感じで、どんな論理があるんだか?ですよね。^^; 人生何がどうなるかわかんないし、私だって後数ヶ月でもう無理 なはずの歳でしたし。:p (続く↓)
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maccarello at 2010-12-31 23:00
人口減少の移行期に多少の犠牲が伴うのは、仕方ないかなー と私は思ってます。
でも、自然と変化していくものを無理に止めようとしても無駄だろうし、無理にやったことって結局後からどこかでしわ寄せが来る気がして。 極端な話、本気で食料足りなくなって飢餓で死ぬ人続出、だったら無理に人口増やさなくてもよかったじゃん みたいな。 そういう意味では婚活ってのも、結婚したい人はそんな業者に頼らずとも結婚してるんだろうし、結婚してない人は別にそれでいいからしてないだけなのでは?という感じで、なんか大きなお世話な気がしちゃいますが、どうなんですかねぇ? コメントは大歓迎ですので、またぜひ。:) |
イタリアのトスカーナ、マルケ、スペインのバルセロナと周って、8年ぶりに戻った日本は信州から。
by さばぇ
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